光市母子殺害事件で妻と子供を失った本村洋さんが
一時の気の迷いから勤務先の新日鐵を退社しようと思い立ち
辞表を書いた時に上司は次のように述べたという。
『君はこの職場にいる限り私の部下だ。
そのあいだ、私は君を守ることができる。
裁判はいつかは終わる。一生かかるわけじゃない。
その先をどうやって生きていくんだ。
君が辞めた瞬間から私は君を守れなくなる。
新日鐵という会社には君を置いておくだけのキャパシティはある。
勤務地も色々ある。亡くなった奥さんも、ご両親も、
君が仕事を続けながら裁判を見守ってゆくことを
望んでおられるじゃないのか』
また、次のようにも述べた。
『この職場で働くのが嫌なら辞めてもよい。
君は特別な体験をした。
社会に対して訴えたいこともあるだろう。
でも、君は社会人として発言していってくれ。
労働も納税もしない人間が社会に訴えても、
それはただの負け犬の遠吠えだ。
君は社会人になりなさい』
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